北海道から近畿まで「新規開通」の高速道路6本 区間は短くても利便性の高まる路線が続々開業

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この区間は何度も走行したことがあるが、現道(国道9号線)はカーブやアップダウンが多く、信号のない平坦な道を走れることは時間短縮だけでなくストレスの緩和という点でも効果があると思う。

北海道は道東道のほかに、後志(しりべし)道が余市ICから内陸に入り、仁木IC(仮称)まで開通、外国人観光客でにぎわう倶知安やニセコまで高速道路が近づくことになる。

近畿の重要路線「紀勢道」はさらに便利に

そのほか、北近畿豊岡道が但馬空港ICから豊岡出石ICまでわずか2kmではあるが、但馬地方の中心都市、兵庫県豊岡市に近づく。

さらに、同じ近畿では、紀勢道の新宮紀宝道路(新宮北IC~紀宝IC:ともに仮称、2.4km)が秋ごろをめどに完成予定。『JAF Mate』の表には掲載がないが、同じ紀勢道のすさみ串本道路(すさみ南IC~串本IC:仮称)も2025年春の開通とされている。

新宮紀宝道路は新宮道路とつながる予定で建設が進められている(国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所資料より)
新宮紀宝道路は新宮道路とつながる予定で建設が進められている(国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所資料より)

紀勢道もまだまだ細切れ開通なので、全通への歩みは遅いが、並行する一般道(国道42号線)のカーブや高低差は国道9号線以上にきびしいため、その役割は重要である。かつて、国鉄の紀勢本線(現JR紀勢線)も難所が多く、全通したのは1959年と、当時の国鉄の幹線の中でももっとも遅い部類であった。

最後の開通区間は、三重県の尾鷲市と熊野市の間であったが、高速道路も紀伊半島南東部が未開通区間となっている。観光資源が豊富なエリアで、名古屋方面からも大阪方面からも交通需要が多い場所だけに、紀勢道の全通が待たれると言えよう。

新名神八幡京田辺JCT付近。この先、高槻JCTまでは工事中(筆者撮影)
新名神八幡京田辺JCT付近。この先、高槻JCTまでは工事中(筆者撮影)

なお、残る大幹線の工事区間、新東名の新秦野IC~新御殿場ICと新名神の大津JCT~城陽JCT、八幡京田辺JCT~高槻JCTの開通は、まだ数年先の見込みである。また、新規開通ではないが、暫定2車線区間の4車線化の着手も各地で発表されており、せっかく高速道路がありながら渋滞や事故の多い区間の解消も少しずつ進んでいる。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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