それはさておいて、景気ウォッチャー調査のコメント欄はあいかわらず冴えている。お急ぎの方は、調査の中にあるスーパーとコンビニの情報発信を拾い読みすることをお勧めする。この2業種は個人消費の最前線だけに、以下のような鋭い観察が寄せられている。
ラーメンの「脳内1000円の壁」は打ち破られるべき
真面目な話、筆者も3月末にビールやウイスキーを買いだめしようかと思ったところであった。全国津々浦々の生活防衛意識が、いかに強くなっているかを痛感させられるコメントが並んでいる。
思うに物価高とは、お財布を直撃するだけではない。われわれの頭の中には「脳内価格」とでも呼ぶべきものがあって、「これはこの値段」というだいたいの水準ができあがっている。それを大きく上回る料金を支払うと、「こんなはずではない!」という拒否反応が生じてしまう。メンタルなストレスが溜まってしまうのだ。
一例を挙げれば、最近は「ラーメン一杯1000円」を超える店が増え始めた。行列ができる店、豪華トッピングが売りの店、店主のこだわりが詰まった店であれば、確かにそれもアリだろう。そして最近は、円安メリットを享受している外国人観光客が、日本のB級グルメに関心を寄せている。彼らにとってみれば、「こんな値段で、チップも要らないなんてもうサイコー!」といったところだろう。
一方でラーメン屋の倒産や休廃業が増えている。東京商工リサーチによれば、昨年1年間のラーメン屋の倒産は45件となり、前年比2.1倍になった。「休廃業および解散」も増えていて、いずれも2009年の調査開始以来、もっとも多くなったそうである。
つまりラーメン業界ではスクラップ&ビルドが始まっている。小麦や豚肉などラーメンの具材はもとより、光熱費や人件費、水道代までが上昇している。
となれば、ラーメンにおける「1000円の壁」は打ち破られるべきであろう。そうじゃないと、「物価と賃金の好循環」が実現しないことになる。とはいうものの、「ラーメンは庶民の食べ物」との思いも強いし、実際に値上げを我慢しているお店もある。そして「脳内価格」が断固として「ノー!」と言っている場合、無理に支払うのは精神衛生上もよろしくない。
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