タカタ、初の会見で何を強調したのか 見えないエアバッグ問題の収束
「当社製インフレータの破損でお亡くなりになられた方へのお悔やみと、被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。大変申し訳ございませんでした」タカタの高田重久会長兼社長はお詫びの言葉を述べた後、きっかり5秒間頭を下げた。
同社製のエアバッグは米国を中心に異常破裂から事故が多発し、判明しているだけでも死亡が8人、130人の負傷者が出ている。これまでリコール問題で会見を開くことはなかったが、株主総会を終えた6月25日の夕方。初めて社長自身が公の場に姿を現した。
清水博・品質保証本部長の説明によれば、問題が起きているのは、エアバッグを膨らませるインフレータと呼ばれる部品で、異常な量のガスが発生し、金属片が飛び散ったり、火災が起きたりしている。そのうち、タカタの製造工程に問題があったと分かったものは、昨年11月までに世界各国でリコール(回収・無償修理)を届け出た。
「原因は特定できていない」
問題となっているのは、原因不明の不具合による破裂が確認されているため。当初は米国南部の一部地域に限定したリコールを行っていたが、原因が分からない中でリコール対象は全米へ拡大。リスクがある製造時期も広がったことで、リコールは史上空前の規模となった。
原因究明に向けて、自社での解析に加えてドイツの研究機関にも協力を要請。自動車メーカー側でも独自で第三者機関での調査を進めてきた。その結果、高温多湿環境での長期使用が原因である可能性が高まった、さらに、製造上の精度のバラつきや、インフレーターの設置状況などの影響もあるとみられるが、「依然として原因は特定できていない」(清水氏)という。
会見の質問は、ガス発生剤として使われる火薬の安全性、欠陥をめぐる自動車メーカーとタカタの諸費用の負担割合、経営責任という3点に集中した。
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