タカタ、初の会見で何を強調したのか

見えないエアバッグ問題の収束

火薬の安全性に注目が集まるのは、ほかの部品メーカーとは違う種類の火薬をタカタが使用しており、その危険性を指摘する声もあるからだ。

タカタが使用している硝酸アンモニウム(硝アン)は、ガス発生能力が高いため、小型軽量化できる上にガス発生後の残渣も少ない。温度によって密度が変化し、ガス発生量のコントロールが難しい側面もあるが、化学物質の添加によって安定化させることで広く利用されている。

これをエアバッグ用インフレータに応用することに成功したのはタカタだけで、特許も押さえている。しかし、添加物で安定化させた硝アンが、高温多湿の環境下で経年劣化し、不安定化したのではないかという疑問は、米国の公聴会でも指摘されていた。

タカタは会見の中で硝アンの危険性を否定。ドイツの研究機関の解析でも、安定化させた硝アンの密度変化と化学的変化との関係は否定されていることを強調した。そして、交換用に製造しているインフレータについては、安全であると従来からの主張を繰り返した。

だが、原因究明ができていない中で、何をもって硝アンを使用したインフレータが安全と言い切れるのかという問いと、会社側の答えがかみ合わず、釈然としないところがあった。

 「安全を提供する」

今後の費用負担については「コメントできない」の一点張りだった。

費用負担については、2014年度にリコール費用約530億円を特別損失に計上しているが、これはタカタが製造上の不備があったと認めた分にほぼ限られる。原因不明とする不具合の分は、自動車メーカーとの責任が不明瞭なため、費用計上していない。今後の対応は、高田会長も清水本部長も「原因究明に至っておらず、コメントできない」の一点張りだった。

自らの経営責任に対して高田会長は、「造り出した製品でご迷惑をかけた責任を感じているが、やるべきことをしっかりやって安全を提供する」と強調した。会見は1時間半以上に及んだものの、6月23日に米国で行われた公聴会の説明の域を出なかった。

これまで黙りを決め込んでいた高田会長が、自ら説明に臨んだだけでも”前進”といえるかもしれない。が、早期の原因究明と今後予想される膨大なリコール費用負担など、重い課題を抱えていることは何も変わっていない。

(撮影:尾形文繁)

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