だがそうは言っても、海外の大手ラグジュアリーブランドの「宿泊特化型ホテル」が相次いでオープンするなど、ホテル業界はますます戦国時代だ。さきほど登場した『リッチモンドホテルプレミア京都四条』は2022年3月、そんなさなかに実験的なブランドとして立ち上げられたホテルだ。
現在のリッチモンドと未来を結ぶ新ブランド
以下は筆者が『リッチモンドホテルプレミア京都四条』で体験したことを綴る。同ホテルでは、チェックイン時に勧められてソファに座ると、宇治の玉露か日本酒どちらかのウェルカムドリンクが提供される。
朝食会場でもある、開放的で広々とした「プレミアムラウンジ」では、13~21時にソフトドリンク、デザートを。15~17時には、それに加えてケーキやスイーツを。17~20時には地元の日本酒、ワイン、クラフトビールなどのアルコールと、生ハム、おつまみなどを提供している。そして、これらすべてが無料だ。
客室はほとんどがツインで、その広さは、一般的なツインの倍はある。インテリアもスタイリッシュで、スーツケースが収納できる大型クローゼット、独立洗面台、オーバーヘッドシャワーが付いたバスルーム、さらにはレコードプレーヤーの設置など、ラグジュアリーホテルに負けず劣らぬ仕様になっている。すべてが、「ビジネスホテル」という枠を越えていた。
宗像氏は同ホテルについて、「コロナ禍とその後の資材高騰でグループの出店計画が一旦白紙になった後に、初めて建てたホテルです。海外ブランドの宿泊特化型ホテルが激増する中、他と一線を画さねばならないと“リッチモンドらしいラグジュアリー”を体現しました。いわば、現在のリッチモンドと未来を結ぶ存在です」と胸を張る。
続けて、「ロイヤルホストが海外の食文化を日本に広めてきたのと同様、海外ブランドホテルのプレミアムフロアでしか体験できなかった優雅な過ごし方を、全ゲストに提案したいと思っています」と展望を語った。
同グループでは2023年から、支配人が海外ブランドホテルを視察する研修も実施。京都四条の反響を鑑みながら、次なる出店戦略を熟考中だ。
朝食、そして今後への布石から、半世紀以上続く飲食業にルーツを持つホテルブランドならではの理念と生き残り戦術が見えてきた。後編では、「目指していない」のになぜか顧客満足度1位に選ばれるサービスから、リッチモンドの強さを分析する。
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