「いじめ防止法」改正の署名活動する遺族の思い 被害者を追い詰める学校の対応に罰則規定を

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自殺現場で手を合わせる遺族。「訴訟の目的はお金ではなく、海星高校の態度は許されないと司法でハッキリさせること。いじめ自殺の遺族は社会的に孤立し、取り残されている」とさおりさん(遺族提供)

経済的な負担も大きい。毎月1回、精神科への通院は欠かせない。薬代を含めると、通算で数十万円を治療に費やしている。開示請求の手数料や資料のコピー代などもバカにならない。そして、弁護士費用も重くのしかかる。

死亡見舞金の給付申請や訴訟の着手金、証拠保全手続き……。交通費などの諸経費を合わせると、累計で600万円以上を支払った。福浦家は勇斗くんの災害給付金でこれらの費用を賄っている。

ただ、いじめ自殺を学校側が認めないほかの事案では、JSCが死亡見舞金を不支給とするケースもある。さおりさんは「わが子のために闘いたくても、経済的な理由で諦めざるを得ない人も中にはいるのではないか」と推測する。

学校の教職員や県の担当者は業務時間に応対する。つまり、仕事の一部だ。学校側の弁護士も、報酬は学校法人から受け取るだろう。手弁当を強いられる遺族との差は、あまりにも大きい。

二度と同じ苦労をしてほしくない

遺族は2022年11月、いじめ自殺をいまだに認めない学校側に対し、約3200万円の損害賠償などを求めて長崎地裁に提訴した。学校側は争う姿勢を示しており、現在も係争中だ。ただ、仮に勝っても経済的に報われるとは限らない。交通死亡事故などと異なり、いじめ事件は高額な賠償金を認められにくいからだ。

2011年に滋賀・大津市立中で起きたいじめ自殺の訴訟。被害生徒の両親は加害者らに計約7700万円を請求したが、最高裁の判決で確定したのは約400万円だった。殺人などの犯罪遺族には公的な給付金制度があり、弁護士による支援制度の創設も国会で議論されている。一方、いじめ被害は対象外だ。

さおりさんはこう語る。「訴訟の目的はお金ではなく、海星高校の態度は許されないと司法でハッキリさせること。ただ、被害者であるはずの私たちが、なぜここまで苦しまなければならないのか。いじめ自殺の遺族は社会的に孤立し、取り残されている」。

民事訴訟は終結まで年単位で時間を要する。途中で和解しなければ、最高裁までもつれ込む可能性も高い。さおりさんの苦闘は、まだまだ終わりが見えない。

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