産地にいったい何が?「チョコレート危機」の実態 カカオ豆価格は1年で3倍、現地からも不安の声
フランスの製菓用高級チョコレートブランド、ヴァローナ社も2024年春から商品を値上げする。「チョコレート全体の値段はやはり高くなると思います。ただ市場に出ている今までのチョコレートやカカオ豆の価格が低すぎたのではないでしょうか」と話すのは、ヴァローナ ジャポンのアントナ・ナジブ社長だ。
「この危機を通じて、チョコレートの世界をより良くより持続可能なものにするために、チョコレート業界全体がそれぞれの立場で、果たすべき義務や役割を考える機会になるのでは」
すでに、世界中の多くのチョコレート関連企業が、産地や生産者に対して、市場価格以上の上乗せ料金を支払っている。それでもなお、生産者が十分に食べて行けない産地がある。カカオ農家の仕事は、栽培、収穫、発酵、乾燥とプロセスが多く、重労働をともなう。
「洪水などで農園がダメになって、もう一度木を植えるとしても、カカオは実をつけるまでに5年、土地の整備も入れて6年はかかります」(生田さん)
カカオ豆高騰は「産地の問題」に目を向けるきっかけに
カカオ豆の高価格が続けば、消費者の私たちは悩ましい。しかし一方で、生産者にはメリットがある。収入が増えれば、貧困から抜け出せる。労働に見合う収入になれば、後継者も増えるだろう。
「今回のカカオ豆の高騰は、日本の消費者が最終製品であるチョコレートだけではなく、産地が抱える問題などにも目を向ける1つのきっかけになるかもしれないと捉えています」(ネスレ日本 平松拓也さん)
チョコの値上がりにつながる歴史的なカカオの価格高騰は、世界中の人がチョコレートを、新たな視点で見つめ直すきっかけになるかもしれない。
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