産地にいったい何が?「チョコレート危機」の実態 カカオ豆価格は1年で3倍、現地からも不安の声

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もう1つ、生産国の財政状況の悪化も一因とされる。2022年12月に、ガーナは事実上のデフォルト(債務不履行)に陥った。ガーナでカカオを管理する政府の機関「ココボード」の活動が融資や運営資金不足によって一部滞った、という情報もある。国からの農家へのサポートがなければ、必要な肥料が届かない、カカオの病気をなおせない、といった問題が起きる。

「世界中が驚いている状況です。カカオ豆の価格も問題ですが、そもそも量が減っているので、世界中の企業が争奪戦みたいになっています」と話すのは、カカオ商社・立花商店の生田渉さんだ。

生田さんは、カカオを各国から買い付ける仕事をしている。世界からカカオが減っても、チョコレートメーカー各社は、消費者のニーズを満たすため、なんとしてもカカオを確保しなくてはならない。

おなじみのチョコレートも相次ぎ値上げ

日本でおなじみのチョコレートも、値上がりしている。森永製菓は4月1日の出荷分からチョコボールを6.5%値上げ。ネスレも3月1日出荷分から「キットカット」の主力製品を約15~17%値上げした。

明治は「明治ミルクチョコレート」「アポロ」などを、6月1日出荷分から出荷価格を約3〜33%値上げ、「きのこの山とたけのこの里袋」は、6月25発売分から内容量が12袋入りから8袋入りになる。

企業によっては、過去に購入したカカオ豆の在庫を使い、しばらくは価格を維持できる。しかし在庫がなくなり次第、新しいカカオ豆を調達するため、商品価格を上げざるを得ない。資材や物流コストの上昇に加えて、円安の影響もある。さらなるチョコレートの値上げが予想される。

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