橋下徹「SNSの激しい口論で気をつけていること」 過激な発言でも、訴えられたのは棄却された1件のみ
いまや1億総情報発信の時代だ。誰もが自由に情報発信できるSNSは21世紀の大発明だろう。でもその自由は、個々人の責任によってまかなわれている。
自由だからといって、感情的で浅はかな言動に走れば、誰かを不当に傷つけることになりかねない。それが名誉毀損罪や侮辱罪に該当すれば、法的な裁きを受ける。もちろん社会的信用も失うだろう。そんなつもりで言ったんじゃない、という理屈は通用しない。悪意がなかったとしてもダメだ。むしろよけいタチが悪い。SNSは公共の場である。不用意な発信は慎まなければいけない。
でも、それで萎縮し、ものが言えなくなっては本末転倒である。あなたの手にある「発信力」という武器はぞんぶんに活用すべきだ。言うべきときにははっきり言う。時には過激で大胆な意見も有意義である。でなければ、新しい価値は生まれない。
SNSは自由だ。でもその自由は、ある種の不自由、つまり責任によって保障される。アウトとセーフの線引き。それさえ押さえれば、あとは自由である。思うぞんぶん、発信したいことを発信しよう。それがあなたの付加価値になるのだ。
事実を言うと「名誉毀損」になる
SNSでは名誉毀損をめぐるトラブルが絶えない。
いくら本人にそのつもりがなくても、相手の社会的評価を低下させる発言だと見なされれば、名誉毀損に該当しうる。訴えられると、民事・刑事上の責任を負うおそれがある。
でも、そもそも名誉毀損とは、具体的にどのような事態を指すのだろうか。名誉毀損罪は刑法230条で次のように定義されている。
ここでポイントになるのは「公然と事実を摘示(提示)」という箇所だ。
ウソ(虚偽)の情報を用いて、相手の社会的評価を低下させる──。名誉毀損をそのようなニュアンスでとらえている人が多いのだが、それは誤りだ。その情報が本当かウソかは関係ない。誹謗中傷にあたるのかどうかも関係ない。
たとえ偽りのない「事実」であっても、相手の社会的評価を低下させる情報なら、名誉毀損になる。
あくまで問われるのは、相手を貶める「事実」の摘示(提示)、それ自体なのだ。
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