再燃する医療費問題、社会保障と税の「一体改革」が大迷走

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 近年では、救急入院医療などでの医師不足が顕在化。「日本の医療の質低下が始まったのでは」という危機感も国民の間で広まり始めた。

「世界でいちばんよい医療制度はスウェーデンと日本といわれる。しかしスウェーデンは続くが、日本はもたない」。日医の原中会長がこう指摘するのも、財源をビルトインした議論の必要性を説くためだろう。

スウェーデンとはいわず、日本の国民負担率を独仏並みに10%上げれば、50兆円(GDP500兆円×0・1)の政府収入増となり、それだけで新規国債の発行(12年度44兆円)はすぐに不要になる。

それが実現できるかは別問題だが、「全体の財源を見ないで、個別の領域であら探ししても主客転倒になる」との機運は、医療界で確実に高まっている。

介護職員の処遇改善は継続できるか

しかし、今回の診療報酬改定では、上乗せする財源はないに等しい。ある内閣府の関係者は「消費税引き上げを盛り込んだ税と社会保障の一体改革は、ねじれ国会の中で先行き不透明。仮に成立しても、12年度から税率引き上げの準備を始める段階で、次の診療報酬改定の財源には間に合わない。足元では震災の復興財源が優先されるだろう」と言う。

一方、一体改革や医療・介護政策が示唆する単価アップの項目は目白押しだ。前回の10年度改定で強化された救急入院医療や地域医療、在宅医療の継続強化(表)に加え、介護では、サービス付き高齢者住宅への定期巡回・随時対応サービスの創設(介護報酬設定)などが控える。


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