再燃する医療費問題、社会保障と税の「一体改革」が大迷走
「あきれて物が言えない」(西澤寛俊委員〈全日本病院協会会長〉)「非常に重大な、深刻なミスだ」(白川修二委員〈健康保険組合連合会専務理事〉)--。
6月22日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)総会は、冒頭から荒れに荒れた。診療報酬改定の基礎資料の一つとなる「医療経済実態調査」(医療機関等調査)の調査票送付で、あってはならないミスが起きたのだ。
全壊した医療機関に調査票を誤送付
中医協は、被災地の医療機関の負担を考慮し、「建物等が流失・倒壊した地域には調査票は送らない」としたうえで、別途、事前に連絡して協力の了承を得たうえで調査票を送付する地域も設けていた。
ところが、厚生労働省が調査事業を委託したみずほ情報総研が、これらの地域の医療機関に調査票を誤送付してしまったのだ。その後、同総研の基本的な統計データ処理の内容にも誤りがあったことが判明し、混乱に拍車がかかった。
日本医師会(日医)常任理事の鈴木邦彦委員は、「まったく単純なミスで、医療経済実態調査全体の信頼性を揺るがす大問題だ」と指摘。
「過去のデータは本当に信頼できるのか。前回や前々回等の実態調査の再検証をやらないといけないのではないか」(安達秀樹委員〈京都府医師会副会長〉)などの意見も相次ぎ、過去の改定の前提となったデータも怪しいのではとの疑心が広がった。
こうなると、ますます雲行きが怪しくなってくるのが、2012年度の診療報酬改定だ。