再燃する医療費問題、社会保障と税の「一体改革」が大迷走

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 中でも関係者を悩ませているのが、麻生政権時代に介護報酬とは別枠の補助金制度として導入された「介護職員処遇改善交付金(4000億円)」の扱いだ。11年度で終了するが、「仮に継続対応するためにこれを介護報酬に取り込むと2%程度の改定率押し上げ要因になる」(厚労省老健局老人保健課)。

介護報酬に取り込まなければ、介護・医療のマンパワー強化や雇用対策という民主党政権の方針と齟齬(そご)を来すのだが、現下の政治の混乱状況では全体の改定率がプラスになるのかもわからず、着地点はまったく見えない。

一体改革案に携わった厚労省の社会保障担当参事官は言う。「一体改革は診療・介護報酬の体系的見直しをうたった。戦略的な配分で、次の改定を改革の第一歩にしてほしい」。

ただ、全体のパイを抑制しながら配分だけを変えるやり方は限界に近い。日医は、前回の改定で行われた“診療所(開業医)から病院(勤務医)への医療費配分シフト”の政策をあらためて批判し始めた。再び医療費取り合いに陥るのか。注目の報酬改定作業は、実施の是非を含め、10月から本格化する。

(週刊東洋経済2011年7月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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