「親ロ心理」はあっても欧州を向くブルガリアの本音 ソ連共産圏の優等生からイノベーションハブに

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一方で、エネルギー面ではロシアへの依存が大きい。政治面で、国内の不満層は「ドイツ、フランスなどの西欧の大国やブリュッセルのEU官僚に操られる」ことへの不満感がある。

1989年以降の体制変革で国営企業の民営化において混乱があり、それまで親ソで発展を続けてきたブルガリアは、このときは近隣国の発展を横目で見ることになった。社会主義時代へのノスタルジーを語る庶民もいないわけではない。実は、ロシアはそこを見ている。

「ヨーロッパ的発展」を共通項に持つ保守・進歩の2会派が現政権を支えるが、以前は与野党に分かれ争ったことがあり、議席を合計しても安定多数ではない。

トルコ系政党や社会党、親ロ政党が一定の勢力を持ち、2023年6月までの2年間に内閣が5回替わった。うち2回は政党協議による多数派形成ができず、大統領が臨時内閣を指名した。

内閣を「リシャッフル」する政治

2023年6月に主要2会派が連立政権として、デンコフ首相、ガブリエル副首相というツートップの内閣が始動した。2人は9カ月経てば交替し、相互のポストを9カ月務めるリシャッフル計画だ。

欧州委員を務め、「EUの星」だったマリア・ガブリエル氏は、第1党(保守)の要請を受けブリュッセルから祖国の内閣中枢に移った。EU時代に、日本の重要性を深く認識したという。

デンコフ首相(右)と筆者(写真・外務省)

「アメリカと中国の動向や欧州の景気も背景にあるが、私たちは日本が持つ大きな価値に気づいた。ブルガリアは対日関係を戦略的パートナーシップに格上げしたい。首相として訪日したい」と、2024年初に私に熱く語った。

デンコフ首相(次期副首相)は研究者時代に茨城県のつくばで1年過ごし、「娘は日本の学校に通ったんです」。教育相の経験があり、日本の学校教育に関心を寄せる。

2人とも政党の党首ではない。政党はそれぞれの思惑のうえに、連携して多数派を形成し内閣を組んだ。あまり例のない「ツートップ交替による内閣リシャッフル」が実現するか、もう一度総選挙で民意を問うか。予想されたことだが、この1カ月 、改革の方針や閣僚人事について 、内閣を支える政党間の折衝が続いている。

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