未曾有の危機に立ち向かう再生可能エネルギーの未来《4・最終回》エネルギーシフトの実現に向けた挑戦が始まる
まずは段階的でも原発から脱却し、再生可能エネルギーと省エネを目指すという方向性を政府として示したことを率直に評価したい。そのうえで、前々回に取り上げた固定価格買い取り制度や、前回の発送配電分離、ほかにも安定供給のための蓄電池やスマートグリッド等の技術開発、地域間連携など、実現のための手段を着実に積み重ねていくことが重要となる。
地球温暖化に向けたCO2削減でも同じことが言えるが、企業は政府の方向性が明確であれば、その実現に向けて技術革新や投資を行い、いち早く自社の優位性を確保しようとする。いちばん困るのはどこに向かっているのかわからない、あるいは一度決まった方向がぶれることである。確固たる目標が定まれば、その実現に向けて知恵を絞る。日本全体がエネルギーシフトを実現するためにしのぎを削り競争する方向に進んでいくことを期待したい。
エネルギーシフトを実現する3つのシフト
エネルギーシフトを「できる」ようにする方法として、「投資のシフト」「地域へのシフト」「マインドシフト」という3つのシフトを考えてみたい。
「投資のシフト」とは、再生可能エネルギーへの投資が利益をもたらし、ビジネスとして成立する仕組みを構築することで民間投資を呼び込むことである。参入障壁の撤廃を図るとともに、補助金なしでも事業が回る「儲かる再生可能エネルギー事業」にしていくことが重要だ。
「地域へのシフト」とは、既存の火力や原子力発電所に比べると小型・分散型電源である再生可能エネルギーの特性を生かし、地域経済に貢献できる再生可能エネルギー事業を各地で普及させることである。交付金による地域還元ではなく、地場産業の活性化や雇用の促進による各地域の経済的自立を目指す。東北地方の経済復興と組み合わせた再生可能エネルギー導入計画なども考えられよう。