金融機関の利ざや縮小が止まらない 日銀緩和の長期化がリスクに
オーバーバンキングともいわれる地域金融機関は、本業の収益低迷と少子高齢化の進行による中長期的な人口・取引先の減少という地域経済の構造変化をにらみ、業務提携や経営統合などで生き残りを模索している。
複数の関係者によると、金融庁の細溝清史長官は5月の地銀経営者との会合で、超低金利環境の継続による利ざや縮小などで「低収益性がリスクになりつつある」と述べ、収益力強化や資本政策など「今年取り組まなければいけない経営判断については、きちんと行ってほしい」と要請した。
国債を大量に保有する地域金融機関にとって、これまでは不測の金利急騰が大きなリスクに位置づけられてきたが、当局も低金利長期化による収益減を意識せざるを得ない状況になっている。
ある地域金融機関関係者は「逆ざやの金融機関は一部かも知れないが、ほぼゼロまで含めるとそれなりの数になる」としたうえで、「現在の超低金利が今後も数年続けば、個別で見た場合、経営への影響も無視できないところが出てくる可能性はある」と懸念する。
バブル発生の可能性を含めて大規模緩和の副作用も懸念される中、日銀による2%の物価安定目標の達成と金融システムの安定維持は、時間との戦いに入りつつある。
(伊藤純夫 編集:田巻一彦)
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