金融機関の利ざや縮小が止まらない 日銀緩和の長期化がリスクに

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縮小

大きな要因は、日銀による大規模な金融緩和に伴う市場金利の低下と、優良な貸出先における金利引き下げ競争による利ざやの縮小だ。

今決算における有価証券運用を含む総資金利ざやは、地銀が0.25%、第二地銀が0.22%となり、それぞれ前年から0.01%ポイント、0.11%ポイント縮小。すう勢的に貸出金利が低下を続ける中で、10年前から地銀はほぼ半分、第二地銀は約3分の1にまで縮小している。

このうち7行が資金調達コストが運用利回りを上回る「逆ざや」に沈み、前年の4行から増加した。

それでも市場部門での収益確保や、企業の信用力向上などで好調な決算が維持されており、直ちに赤字転落や自己資本のき損など経営に大きな影響を及ぼす可能性は小さいとみられている。

だが、過去2年以上にわたってほぼ一方向に株高・債券高が継続して市場部門の収益がかさ上げされてきたが、ここから一段の収益増に期待するのは難しい情勢だ。米国の利上げ開始も視野に入る中で、金融市場の先行きには不透明感が漂う。

また、景気回復に伴う企業の信用力改善に一巡感が出てきており、貸し倒れ引当金の戻り益も「今後は減少していく可能性が大きい」(金融関係者)とみられている。

全国地方銀行協会の寺門一義・前会長(常陽銀行頭取)は、5月の会見で地銀決算について「一見すると好決算だが、国内の貸出利回りは、漸減傾向に歯止めがかかっていない」とし、課題に「収益力の強化」を挙げた。

見えないQQE出口、金融システムを浸食

一方、足元の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率は、エネルギー価格下落の影響でゼロ%程度に低迷。2%の物価安定目標の達成を目指す日銀の大規模な量的・質的金融緩和(QQE)の出口は見えず、超低金利環境は長期化せざるを得ないとの見方が増えている。

金利が歴史的な低水準にある中で、一段の金利低下余地は限定的との見方は多い。それでも超低金利が長期化することによって、今後償還を迎える過去の相対的に高い金利の貸出や保有国債のうち、一定程度が低い金利に置き換わっていくことになり、利ざや、収益を一段と圧迫する。

物価と金融システムの安定を目的とする日銀は、金融システムの現状について「安定性を維持している」と繰り返し、物価目標達成にまい進する姿勢を強調する。

それでもある金融の専門家は、バブル経済崩壊後の深刻な不良債権問題を克服して築き上げた現在の金融システムの安定は「大切な国民の財産」と指摘。そのうえで大規模な金融緩和がその安定性を「長い目でみて脅かしつつある面も、否定はできない。QQEはいつまでも続ける政策ではない」と指摘する。

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