つくたべやワタサバ「NHK夜ドラ」ヒットの背景 平日「夜の15分ドラマ」製作の狙いを聞いた

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「夜ドラ」の狙いを、NHKメディア総局・メディア編成センターの小西智仁氏は「NHKのマインドとして、夜にコンパクトなサイズのドラマを放送するモチベーションはずっと昔からありました。そうしたなか、現役世代の女性に楽しんでいただけるドラマをコンセプトにして始まったのが、現在の『夜ドラ』です」と語る。

仕事に疲れて帰宅した平日の1日の終わりに、難しいことを考えずに気楽に楽しんでもらえるドラマを目指した「夜ドラ」。基本的に1作品を8週とし、この2年間は、オリジナルまたは原作のドラマ化を問わず、サスペンスやミステリー、SF、コメディ、日常系ドラマなどバラエティに富んだジャンル、作風の作品を手探りで投入してきた。

「ミワさん」「ワタサバ」「つくたべ」のヒット

そんななかで反響のあったドラマの1つとして、小西氏と同じくNHKメディア総局・メディア編成センターに所属する手塚有紀氏が挙げるのが、松本穂香が家政婦を演じた『ミワさんなりすます』だ。

NHK 夜ドラ つくたべ ミワさんなりすます
『ミワさんなりすます』(写真提供:NHK)

「制作サイドによると、夜ドラは前日の内容をなぞりながら始まることが多いのですが、『ミワさん』はそれをしなくても、どこからでも気楽に楽しめる作りを意識していました。そういう1つひとつの取り組みで、あまり難解ではなく、リラックスして見れるというイメージの枠になっているのかなと思います」(手塚氏)

また、お笑いタレントの丸山礼が自己中心的で破天荒な主人公を演じる『ワタシってサバサバしてるから』は、当初は「夜ドラ」枠と親和性があるのか、編成部内で議論になったというが、結果的には幅広い年代の視聴者に見られるヒット作となった。

民放ドラマと比べても、夜の15分帯ドラマは珍しい。国民的ドラマである「朝ドラ」とは対象年齢層が異なるが、そこで培ってきた帯枠ならではのリズムやテンポといった知見は、NHKの強みとして「夜ドラ」にも活かされているようだ。

特に「夜ドラ」に関しては、1時間や2時間ドラマとは異なる、15分ドラマの“ゆるい楽しさ”が現代人の感性やライフスタイルにマッチしているのかもしれない。

そんななかで、女性の厚い支持を長く受けるヒット作になったのが、冒頭でも紹介した、『作りたい女と食べたい女』(2022年11〜12月)だ。好評を得て、2024年1〜2月にシーズン2が放送され、「夜ドラ」初の続編作品となった。

続編が生まれたことは、2022年の「夜ドラ」開始から少しずつ認知と関心が高まり、視聴者に定着してきていることの1つの証しになるだろう。

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