だがトークの場面では、和気あいあいとした雰囲気ばかりでなく、時には緊張が走ることもあった。
たとえば、1984年2月13日にレギュラー出演する以前の明石家さんまが出たときに紹介したのが、ミュージシャンの小田和正だった。
当時のタモリは、フォークやニューミュージックを「暗い」「軟弱」と言って盛んに批判していた。さんまはそれを承知のうえで、小田を紹介したのである。翌日のトークは、やはりどこか手探りの状態のまま、お互いぎこちない感じで進んだ。
また、官能小説で有名な人気作家・川上宗薫が1983年9月26日に出演した際には、小説での「尻の穴」の描写が話題になった。
説明しようとした川上が生放送での表現の難しさに耐え切れなくなり、「こうなったらヤケクソで、放送禁止用語なんか言っちゃっていいですか?」と言い出した。
「いいとも!」とはもちろんいかず、タモリが慌てて「怖いことをおっしゃる」と制止する一幕があった。
ほかにも、2012年10月3日に登場したタレントで俳優、作家でもあるリリー・フランキーが、お気に入りのラブドールを伴って出演し、自分の〝彼女〟として紹介したこともあった。
この場合は、タモリは慌てたというよりはむしろ興味津々でノリノリだったが、スタジオ全体はどう反応してよいかわからず不思議な空気が流れた。
「友だちの輪」の誕生もそうだが、こうした生放送ならではのハプニングこそが、「テレフォンショッキング」の醍醐味だった。予想外のことがしばしば起こり、まさにハプニングの宝庫となった。
黒柳徹子の「番組ジャック」
そのなかで、いまでも語り草になっているのが、1984年3月14日放送回の黒柳徹子による〝番組ジャック〟である。この日登場した黒柳は、文字通りノンストップでしゃべり続けた。
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