北朝鮮で「Suica」型カードが超人気の理由 ポイントもつかないのに急速に普及

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「決済レート」は、北朝鮮国内の外貨商店など外貨が利用できるところでは、外貨保有者は現金の外貨を支払うことができ、おつりも外貨で受け取る際のレート。これを日本や西側では「公定レート」と呼ぶことが多い。

ただし、商店など機関側の帳簿上は「外貨ウォン」として計算されると、全氏は説明する。このレートは外国人・内国人区別なく適用され、「外国人に暴利なレートを設定して、ナレカードへの交換を強制しているという外国からの声があるが、それはまったく違う」と否定する。実際に、ナレカードの利用者の99%以上は内国人だと全氏は言う。

また、「現金交換レート」は前述したような市場などで交換され、内貨でのみ購入できる財やサービスにつけられる。外国人も訪れる中国資本が入った光複地区商業中心(平壌市)というショッピングセンターは内貨で支払う場所であり、入り口近くに外貨を交換するブースに現金交換レートが各外貨ごとに記載されている。そこで外貨を内貨に換えて買い物ができるようになっている。

今は外貨・内貨と区別して利用される過渡期

北朝鮮はこのように二重レートが存在している国だが、開発途上の初期段階では国家財政上の理由などで、このような二重レートが発生した国は多くある。北朝鮮もかつては「外貨兌換券」を発行していたが、これはかつてミャンマーなどの途上国でも実施され、廃止された後も二重レートが存在していた。

前出の韓国・国民大学の鄭教授は、「ナレカードを北朝鮮が導入した目的は国民の利便性向上のためが第一で、外貨利用の透明性を確保するためのもの、あるいは国民が持つ外貨を国家がかき集めるためという理由はカード導入の本質から外れる話だと考えられる」と言う。
 

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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