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天才「ガンディーニ」シャイな彼が残した遺言 ミウラやカウンタックを生んだデザイン哲学

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  • 越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表
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この講演が結果的にわれわれの前に姿を現した最後の機会となった(写真:Stola family)

「自分は反抗的であったし、親の決めたルールには従わなかった。私が絵を描き始めたのは、イタリアに "デザイナー"という言葉が存在しなかった時代だ。建築家やエンジニアになるための勉強はできたが、私のやりたいことのための学位コースはなかった。広告のスケッチ、漫画、家具、そして少しずつ、カロッツェリアのためのクルマの図面など、何でも描いた。まだ仕事というには少なすぎたが、自分の方向性を感じるには十分だった」

そして、「若者よ、決して人の意見に惑わされず、人と同じことをするな」と彼は力強くアジテートした。

ガンディーニの講演を聴くために集まった人で会場は満員となった(写真:Stola family)

一方で「新しいものをデザインするためには、その分野で過去に行われたことをすべて知る必要がある。デザインの歴史、そしてイノベーションの歴史全般を知ること。たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチ以降を知ることは、これからのデザイナーにとって必須条件なのだ」とも諭しており、彼が常に身をもって示してくれた彼の仕事への取り組みに言及し、次のように締めている。

「テクノロジーを『アイデアを実現するための手段』として使うことだ。しかし、書くこと、描くこと、計算すること、紙にスケッチを描くことをやめてはいけない。鉛筆は、アイデアという脳と現実をつなぐ特別な手段だ。紙と鉛筆からプロジェクトを始められるのは、アイデアがあるということ。オリジナルのアイデアがなければ、どんなテクノロジーもそれを生み出すことはできない」

こうして写真撮影に応じるのも貴重な出来事であった(写真:Stola family)

偉大なるガンディーニの魂を後世に

このコトバには、彼のデザインセオリーが詰まっている。彼の魂から沸き出したような素晴らしい講演の記録を読んだとき、筆者は震える気持ちを抑えることができなかった。そして思った。

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彼の目の前には、まだまだたくさんのプロジェクトが待ち構えているのは間違いないだろう。彼にしてみれば、「私は忙しいから、今のうちに自分の遺言たるものをしたためておいたよ。だから、私の仕事を邪魔しないでくれよ」と言うつもりなんだろう、と。

運命はわからない。この彼のコトバがまさしく遺言となってしまうとは……。筆者のような凡人の役割として、彼についての偉業を引き続き世に伝えていくことが餞(はなむけ)となるのではないかと考えている。

資料提供:Lectio Magistralis, Marcello Gandini – Cerimonia conferimento Laurea honoris causa in ingegneria meccanica – Politecnico di Torino

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