天才「ガンディーニ」シャイな彼が残した遺言 ミウラやカウンタックを生んだデザイン哲学

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1971年のジュネーブモーターショーでデビューを飾ったランボルギーニ「カウンタックLP500」は、ガンディーニの代表作である。フロントからリアにかけて1本の線で描くことのできる「ワンモーション」プロポーションと、ドライバーが限りなく車両の前方に座る「キャブフォワード」のコンセプトは斬新そのものであった。

極めて低いくさび型フォルムのカウンタックLP500(写真:Lamborghini)
極めて低いくさび型フォルムのカウンタックLP500(写真:Lamborghini)

多くの方はご存じであろうが、カウンタック(日本語表記には多くの考え方があるが、“伝統的なもの”をここでは使用する)とは、ベルトーネの本社が位置するイタリア・ピエモンテ地方の方言で、「何だこれは!」というような驚きを表すコトバだ。

このクルマのスタイリングを目にした農夫が思わず発した、とされている。農夫にとって、UFOを目にしたようなものだったのであろう。思わず口から出たカウンタックは、まさにこのスタイリングにぴったりの単語ではないか。

現在もランボルギーニのスポーツカーは、ガンディーニがデザインしたこのコンセプトを継承しており、ガンディーニの手によるデザインDNAは今も重要な役割を果たしている。

2022年に登場したNEWカウンタック、LPI 800-4(写真:Lamborghini)
2022年に登場したNEWカウンタック、LPI 800-4(写真:Lamborghini)

彼のインタビューが難しいワケ

ガンディーニは、ベルトーネを辞したあともフリーランスとして多くの成果を残している。ヘリコプターの開発も行ったし、ガンディーニ・ジャパンが設立され、日産のコンセプトモデルを手がけたこともあった。

1993年に発表されたガンディーニの手による日産のコンセプトモデル、AP-X(写真:日産自動車)
1993年に発表されたガンディーニの手による日産のコンセプトモデル、AP-X(写真:日産自動車)

時代を造った天才の足跡を記録し、次世代へ伝えることをライフワークとしている筆者にとっても、彼の仕事をフォローすることは重要なテーマだ。一方で、それはなかなか難しい案件でもある。

彼は決して無愛想なワケでもなく、とても細かい気遣いをしてくれるジェントルマンなのだが、いかんせん過去の仕事に関しての興味がまったくない。そしてとてもシャイだ。

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