「生産性低い」が一発逆転、できる上司"3つの質問" 生産性が伸び悩む組織は会話に「数」が足りない

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そこで、どんな組織でも数会話が行われるようになる、極めてシンプルな魔法のフレーズを3つご紹介します。

組織の生産性を上げる魔法の3フレーズ

①どれくらいですか?(どれくらい?)
使い方:
部下:「すいません、ちょっと時間もらっていいですか?」
上司:「具体的にどれくらいですか?
部下:「3分で終わります」

「どれくらい?」というフレーズは、具体的な量を尋ねる質問です。時間や売り上げなど、具体的な数字で示せる話題になったとき、積極的に使用してみましょう。

②本当ですか?(本当に?)
使い方:
同僚A:「今月の成績かなりエグいんだよ!」
同僚B:「本当に?
同僚A:「先月と比べて2倍もあるんだ」

「本当に?」はエビデンスを求めるフレーズです。相手の発言に少しでもあいまいさを感じたら使用してみましょう。

③どうしてですか?(なんで?)
使い方:
後輩:「今週の売り上げ、ヤバそうです」
先輩:「なんで?
後輩:「新製品の受注が目標の50%にも達していません」

「なんで?」は根拠を求めるフレーズです。ビジネスにおける根拠はたいてい数字が入った情報のはず。この質問が多ければ多いほど、必然的に数会話が強制されます。

従業員同士のコミュニケーションにおいて、これら3つのフレーズで質問することを爆発的に増やせば、自然と数会話をする文化が育っていきます。少しではいけません。爆発的に増やすのです。数字で表現するなら、現状の10です。

数会話が浸透すると、意思疎通がスムーズになる。誰もが納得して仕事に取り組める。組織全体として適切な行動ができるようになる。そして生産性が上がる。いいことしかありません。

ある大手企業は数会話の威力に目をつけ、マネジメント層を中心とした研修を企画しました。数会話というネーミングがキャッチーかつ言いやすかったこともあり、あっという間に社内に広まったそうです。

経営に近い立場の重役も会議などで「いまの発言は数会話じゃないな」と指摘するような変化も起こったとか。簡単にできるからこそ、その浸透スピードは極めて速いのです。

ただし、組織内でひとりだけ「どれくらい?」「本当に?」「なんで?」を連発すると職場では鬱陶しい存在と思われてしまうかもしれません。先ほど「適切に使う」と申し上げたのはそのような意味があります。個人ではなくあくまでチームで統一したルールにすることがポイントです。

深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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