U8に続いて投入されたU9は(エンジンを搭載しない)純EVのスーパー・スポーツカーであり、価格はU8の1.5倍を超える。
いわゆる「スーパーカー」の分野には、イタリアのマセラティ「グラン・トゥーリズモEV」やイギリスのロータス「エヴァイヤ」などの純EVがすでに存在する。それらの価格は前者が198万8000元(約4157万円)、後者に至っては2000万元(約4億1823万円)を超える。
スーパーカーの市場では、ブランドの認知度とイメージの高さが極めて重要だ。新興ブランドの仰望が成功をつかむには、中国および世界の富裕層に対して独自のブランドイメージを訴求しなければならない。
中国の国海証券は2023年6月に発表した調査レポートのなかで、イタリアの「フェラーリ」を事例にしたスーパーカー・ビジネスの分析を行った。それによれば、フェラーリは自社のブランドイメージ(の維持と向上)を競争力の核心に位置づけている。
1000億円超を投じレース場を建設
フェラーリは、世界的な自動車レースに参戦することでブランドの独自性をアピールし、価格と利益率が極めて高いクルマの販売を可能にしている。それにより得られる分厚いキャッシュフローを新車開発に惜しみなく投入し、競合メーカーと差別化したクルマを世に送り出し続けるという「好循環」を形成していると、国海証券のレポートは述べている。
BYDは、同社が誇る電動車の技術力により、新時代のラグジュアリー・ブランドを創り出せると考えている。とはいえ、スーパーカーという狭き市場で成功するには、(競合ブランドと差別化するための)文化的な要素やレース参戦の実績などをブランドにまとわせることが欠かせない。BYDには、それらにゼロから取り組むことが求められている。
同社の創業者で董事長(会長に相当)を務める王伝福氏は、1月に開催したイベントの際に「自動車レース専用のサーキット施設の建設に50億元(約1046億円)を投じる」と宣言した。BYDはレース場だけでなく、レーシングカーの開発やドライバーの育成などにも投資とサポートを行い、中国における自動車文化の醸成を後押ししていくという。
(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は2月26日
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