白い恋人に似てる?「白い針葉樹」作る会社の挑戦 摘果リンゴ使ったお菓子「りんご乙女」も販売
そんなマツザワの主力商品の1つが、冒頭でも述べた「白い針葉樹」だ。ネットでは、たびたび「白い恋人」と「どちらが元祖か」とつぶやかれるこの商品は、「白い恋人」の発売から3年後、1979年に福島県の菓子メーカー不二屋食品が製造販売を始め、近郊のスキー場やバスセンターなどで販売されていた。
不二屋食品は2007年に経営破綻したのだが、当時、同社から商品を仕入れていたマツザワが不二屋から製造設備を買い取り、以来、素材や製法の改良を重ねながら商品の生産を継続してきた。経営難に陥った会社が大事にしてきた商品を、受け継ぎ守っていく。マツザワの経営姿勢がよく表れている。
もう1つ、マツザワの経営姿勢を象徴する、主力商品がある。
リンゴの生産過程で中心果を大きく育てるために切り落とされる「摘果リンゴ」を使ってつくる菓子商品「りんご乙女」だ。
薄くスライスした生のリンゴを生地に載せてプレス焼きで仕上げた薄焼きのクッキーで、新鮮なりんごの香りと甘酸っぱさが感じられる上品な風味が特徴だ。
1995年に発売した当初は、薄いクッキーの型に合う小さなサイズのリンゴを求め、山形の農家から市場に流通しない収穫期最後のリンゴを調達して使っていた。
お菓子に摘果リンゴの活用を検討
だが、商品が売れるようになると原料が不足するようになり、サイズの小さな摘果リンゴの活用を検討するようになった。
リンゴは1つの実を育てるために、少なくとも5つの幼果が切り落とされる。落ちた果実はそのまま畑に捨てられていた。松澤社長は、地元・飯田の摘果リンゴを活用できれば地場の土産商品として地域にも還元できると考えた。
ところが、課題が立ちはだかる。摘果リンゴを食用として利用するには、農薬の散布時期を遅らせるなど栽培体系を変える必要があり、提供する農家にとって病害虫の被害を招きかねないリスクを抱えていた。手立てを探る中、2007年、実証実験に名乗りをあげる強力な助っ人が現れた。
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