白い恋人に似てる?「白い針葉樹」作る会社の挑戦 摘果リンゴ使ったお菓子「りんご乙女」も販売

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マツザワは1959年の創業。現在、2代目の代表を務めるのは、松澤徹社長(67)だ。都内の大学を卒業後、スーパーの西友で4年勤務した後マツザワに入社。創業者の父・泰氏から35歳で代表権を継いだ。2021年に亡くなった先代が起こした会社を徹社長はこう振り返る。

「父は戦前、学校にお弁当を持っていけないほど貧しい子供時代を過ごしたそうです。家業はいつもお金に困っていて、借り入れのほうが売り上げより多い。従業員の中に家族や親戚がたくさんいて、給料のほうが売り上げより多い。食わせていかなければいけない胃袋がたくさんあった。

経営が苦しかった分、人の苦労がよくわかっていたのだと思います。支払いは現金できっちりすることを守った人でした。それがマツザワの商売の信用を高めてくれたように思います」

白い針葉樹 マツザワ りんご乙女
マツザワの松澤徹社長(写真:筆者撮影)

商売の源流は、和傘の柄を支える「ろくろ」やこけしをつくり、地方の観光地などに卸していた、ものづくりと販路づくりにある。父が公務員を辞めて家業を受け継いで起業し、お菓子や漬物などを仕入れて観光地の小売店に販売する卸問屋から始めた。

ある時、百貨店向けに山ごぼうの味噌漬けをつくるメーカーが、不揃いのごぼうの両端をカットし大量にタンクに保管していることに目をつけた。それらを買い取って温泉宿などに土産品として卸したところ、よく売れ、大きな利益を上げたことが、現在のマツザワの事業の基礎になったという。廃棄に費用をかけていた漬物メーカーにも大いに喜ばれた。

小規模な菓子メーカー等をグループに組み込む

マツザワは現在、関東や北陸、中部地方を中心に15営業所を構える。それぞれの地域で特産品や土産品の企画開発・卸売事業を手がけるだけでなく、岐阜県内の道の駅「可児ッテ」を運営、小売業では「豆吉本舗」「十勝甘納豆本舗」「菓心たちばな」「甘味しゅり春秋」などの菓子店を展開し、長野県内で和食レストランやラーメン、そば屋の飲食店も経営するなど、事業形態は多岐にわたる。

特徴的なのは、その拠点の多くが、もともと地方各地で商売していた小規模な菓子メーカーや卸売会社が前身だということだ。地域の高齢化による人手不足や後継者不足、資金繰りの悪化など経営難に陥った会社の要請に応える形で、取引関係のあったマツザワが事業継続や立て直しをサポートし、グループ事業に組み込んでいった経緯がある。

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