「日経平均4万円は高くない」と言える複数の根拠 「中国不動産バブル崩壊」の日本株への影響は?

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両者の因果関係について、少なくともかつては、中国の実物投資が日本企業の輸出或いは現地法人の利益増加を誘発するという経路である程度の説明ができた。

「中国離れ」が加速しつつある現状、その傾向は弱まりつつあるようにも思えるが、(因果があるかは別として)日本株上昇の背景にクレジットインパルスのプラス圏推移があることは認識しておきたい。

日本の平成バブル崩壊時とは異なる中国経済の粘り強さ

中国経済を巡っては不動産市場の悪化に加え、デフレの色彩を帯びるなど1990年代の日本の平成バブル崩壊時と共通する点が多い。

しかしながら、中国の企業景況感を示すPMI(購買担当者景気指数)は過去10年程度安定しており、日本が1990年代前半に経験したような垂直的落下は免れている点は重要だろう。

平成バブル崩壊の過程では、日銀短観(大企業の業況判断DI)が1990年のプラス40近傍から1993年にかけてマイナス40近傍へと低下するなど「別世界」とも言うべき激変が起きた。だが現在の中国ではそこまでの事態までには至っておらず、それは中国経済の粘り強さを物語っている。

もちろん、中国経済を巡っては、不動産市場に火種を抱えている状況に変わりはない。だが、それが日本を含む世界の株式市場を下落に追いやる事態に発展する可能性は現時点で低いと判断される。こうした環境を踏まえると、日経平均株価は今の「4万円」が正当化されるのではないか。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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