「それでも日本株は上昇する」と言える2つの根拠 景気はよくないのに株価が高いのはおかしい?
筆者は、今後1年以内に日経平均株価が再び4万1000円を超えると予想している。
アメリカでは年後半以降、中央銀行にあたるFEDが利下げを開始し、同国経済の底堅さが維持されることによって、世界的に株価が上昇基調を維持する可能性が高い。一方、日本でも企業の資本効率改善など固有の上昇要因があり、それらが株式市場への資金流入を促すことになりそうだ。
今回は筆者が注目している、以下の2つの視点から日本株を展望していきたい。それは「名目GDP」と「半導体」である。
株価にとって重要な名目GDPは順調に増加
まず前者から見てみよう。5月16日に発表された日本の2024年1~3月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率マイナス2.0%となった。マイナス成長となったのは2四半期ぶりで、日本経済の停滞を印象付けた。自動車大手の工場稼働停止という特殊要因が尾を引いた形だが、それだけでマイナス成長を説明することはできない。
北米向け自動車や半導体製造装置など外需(輸出)は拡大傾向にあるものの、内需、とくに個人消費が前年比で見てもマイナス0.2%と水面下に沈んでいる。巷間言われる「実体経済が弱いのに株価だけが上がった」というのは否定しようのない事実であろう。
もっとも、こうした日本経済の停滞は、物価変動の影響を除去した「実質」の話である。実は、株式市場にとって重要な「名目」でみると大きく姿が変わる。
名目GDP成長率は直近こそ一服感がみられるものの、インフレの追い風を受けて前年比ではプラス3.4%と大きく拡大し、年間では599兆円と600兆円の大台をはっきりと視界に捉えている。
アベノミクス開始当初に掲げられた、当時としては極めて野心的な目標が、今まさに達成されようとしている。実質と名目の差を説明するのはGDPデフレーター(名目GDPの物価水準の変化分を調整するときに用いられる指数)だ。この指標はデフレ期において長らくゼロ以下で推移したが、直近の前年比伸び率はプラス3.6%と高い伸び率にある。
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