震災復興のスタート台を前後させる二重ローン対策を早急に--永易克典・全国銀行協会会長
7月1日付で全国銀行協会の新しい会長に、永易克典・三菱UFJフィナンシャル・グループ会長が就任した。永易会長は東洋経済オンラインのインタビューに応じ、東日本大震災を受けた喫緊の課題として「二重ローン問題の対策を早く作る必要がある」などと話した。
--震災からの復興が大きなテーマになると思います。民間金融機関の役割をどう考えますか。
われわれの責任は非常に重いと思っている。今、何といっても大きいのは二重ローン問題だ。震災があればこの問題は必ず起きるが、これまで抜本的なセットメニューが出されたことはなかった。しかし、今回の大震災は被害が広域で被災者の方も多い。政官民をあげて支援しないといけないという気運が盛り上がっている。
二重ローンといわれるもののうち、既存の負債は民間であり、われわれの役割は大きい。エッセンスは国、民間金融機関、債務者がどう痛みを分かち合うか。十把ひとからげにした基準でできるとは思っていない。おそらく融資ごとに(損失分担などが)異なるため、それをどういった形で決めるのかも含め、早く対策を作る必要がある。
--国の二重ローン対策は策定中ですが、東電問題に絡む原子力損害賠償支援機構法案が6月14日に閣議決定されました。
原発事故を沈静化させる部隊が全力を挙げる意味でも、電力が安定的に供給される意味でも、当然のことながら被災者がちゃんとした補償を受けられるためにも、ぜひ早く法案(7月8日から審議入り)を通して欲しい。これで向こう1年は(資金が)回るという形で、(大手行で)3月に1.9兆円の緊急融資を行った。だが、何が起こるのかは分からないので、支援機構はそういうものに対する備えでもある。