――米国では以前、出産を機に会社を辞める女性が多かったそうですが、どう変えてきたのでしょう。
EAPのサービスが普及し、授乳室を設けるような職場も増え、柔軟な働き方ができるようになったことが大きい。WPOの例で言うと、社員の9割は女性。職場に復帰するときは、月1回、週1回と慣らし勤務から徐々に復帰を図るようにしているし、自宅での在宅勤務も推進している。つまり、子どもが小さいときは子どもにプライオリティを置けるようにして、空いている時間に仕事ができるようにする。ただ、人によって事情は異なるので、その人にとって必要なものを提供することが大切だ。
最近は、女性に限らず、誰かを面倒みなければいけない人への支援が注目されつつある。また優秀な人ほどよりフレキシブルな職場環境で働きたいと考えているので、企業はそうした人材が流出しないために手を打つことが求められている。若い人ほどクオリティ・オブ・ライフを重視するのは世界的な傾向だ。
働き続けられる支援でなければ意味がない
――日本市場は有望ですか。
日本の会社も必要性に気づき始めている。有能な人材を引き留めておきたいし、女性労働者の価値も理解され始めてきた。早い時期に日本に進出した外資系企業は、有能な女性を採用して戦力にしていたと聞いています。
女性が働き続けられるような支援でなければ、投資のリターンを得ることにはならない。子どもを持つお母さんは、家にいるか仕事をとるか葛藤の中で生きているので、仕事を辞めるほうを選択するこということは、投資が無駄になるということ。企業がそういったことに、どれだけ敏感になれるかが肝心だ。
さらに、2015年12月から義務化されるストレスチェックによって、従業員がどの程度の問題を抱えているかがわかるようになる。それに対するソリューションを会社が持っているかどうかも問われてくる。
従業員が抱えているストレスは、職場で発生するというよりも、仕事とプライベートを両立するうえで発生するものが多い。日本の場合、個人的な問題を職場に持ちこむなという考え方があるようだが、実際には持ちこまれるものだ。
ストレスを抱えた社員は、職場でインターネット検索を続けるなど、仕事に集中できないでいる。稼働していない時間を考えると、EAPサービスのROI(投資対効果)は高いと思う。こういった情報提供をすれば、経営者には必要性をわかっていただける。
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