もう一点、筆者が「うまいな」と思うのは、CEOであるヴィンケルマンをスポークスマンとして、具体的な方針をわかりやすく伝えるプレゼンテーション力だ。
多くのブランドを持つフォルクスワーゲングループ内で企画を通し、投資を求めるプレゼンテーションの難しさは「顧客にクルマを売る以上だよ」と、かつて某エグゼクティブが筆者に語ってくれたことがあるが、そこでブラッシュアップされたステートメントはシンプルでわかりやすい。
ランボルギーニはCO2削減のロードマップとして、2021年に「コル・タウリ戦略」を発表している。これはモデルの電動化と生産拠点の脱炭素化という両面からの取り組みから追求するものであり、先日2023年までの計画が順調に進んでいることを発表した。
インタビュー時にヴィンケルマンはこう語っている。
「2030年までにCO2の排出量を40%削減するという目標を再設定しました。これはクルマそのものの排出だけではなく、いわば“ゆりかごから墓場まで”、つまりサプライチェーンやディーラーを含めた、生産から廃棄の工程すべてを含むものです。もちろん、ロジスティクス関係も含めています」
サンタアガタの工場内部はもちろん、周辺の環境や世界各地のショールームまで、相対的にCO2削減に取り組んでいるという意思表示はぬかりない。加えて内燃機関スポーツカーを延命させたいという想いも忌憚なく発信している。
スポーツカーメーカーの現実解
ヴィンケルマンは常々「ランボルギーニのスポーツカーは走行距離も短く、環境に与える負荷も少ないからハイブリッド化がもっとも適しているし、合成燃料のリサーチも行っている。それに対して、日常使用の比率が大きいSUVはBEVが向いている」という現実的な主張を明確に行っている。
ランボルギーニは「スポーツカーとして欠かすことのできない内燃機関を当面残しつつも、持続可能な社会の実現に向けての取り組みをプライオリティ高く行っている」と、絶えず繰り返しているのだ。
つまり、“やっている感を出すこと”に抜かりはない。そんな確固たる姿勢を持つブランドだから、世界のランボルギーニ・ファンも安心して彼らのハイパフォーマンス・モデルを選び、楽しむことができるというワケだ。
2023年に創立60周年を迎えた、自動車ブランドとしてはまだ若いランボルギーニであるが、そのアグレッシブなスポーツカーへの取り組みは要注目である。
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