道路の有料化とは意味合いが違うが、高速道路では近年「実質的な値上げ」になるケースが増えている。たとえば、高速道路の休日割引。
最近は「渋滞を助長する」として年末年始やお盆の時期などは割引が行われないようになってきたが、2024年はいわゆるシルバーウイークも割引を適用しないことが発表された。
コロナ禍が収まり観光需要の増加などもあって、休日の渋滞はコロナ禍以前よりもひどいところも多く、需要のコントロールのための休日割引が逆効果ともいえる状況になっているため、今後は休日割引そのものが見直される可能性もある。
神奈川県と千葉県をトンネルと橋で結ぶ東京湾アクアラインは、千葉側から神奈川方面へ向かう方向に限り、休日の午後(13~20時)に割増料金(普通車800円→1200円)を設定する代わりに、20~24時の通行料を引き下げた(普通車640円)。
時間を自由に選べるなら「値下げ」になる人もいるが、その時間に通行せざるを得ない人にとっては「値上げ」である。
さらに現在、混雑が激しいサービスエリア/パーキングエリア(SA/PA)では、特に大型車を停めるスペースが確保しづらい状況から、一定時間以上の駐車を有料化しようという動きがある。これも移動のスタイルによっては支払いが増えるわけだから、実質「値上げ」だ。
老朽化や自然災害、少子高齢化に向けて
諸外国と比べて高いと言われてきた日本の高速道路は、償還期間が延びて無料になる見通しがはるか先になった。しかも、多くの路線が建設後30~40年を経過するようになり、老朽化対策などに膨大な費用がかかるようになっている。
さらに、近年では豪雨や地震など自然災害による高速道路への被害も増加し、復旧にも莫大な費用がかかるようになった。元日に起きた能登半島地震で甚大な被害を受けた能越道は、2月下旬となった今も完全復旧できていない。
高速道路を維持する財源をどこに求めるのか、人口減や少子高齢化の時代にどう高速道路の機能を維持するのか。こうした有料化の流れは、生活や物流のインフラであり、「観光立国」の重要なインフラでもある高速道路の財源のあり方や利用者負担の問題を、改めて私たちに突き付けているように感じる。
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