時代に逆行? いま「道路の有料化」が進むワケ 「償還→無料開放」がセオリーだったはずが…

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この有料化は、「4車線化の建設費用の捻出のため」であると説明されている。

無料区間として建設された高速道路が有料化されるのは、実はわが国では初めてのことであり、九州の西端の短い区間であるとはいえ、これまでの「有料→いずれ無料」という流れとはまったく逆行する。この施策をどのように捉えていいのかは、なかなか判断が難しい。

西九州自動車、相浦中里IC~佐世保中央IC間を走行したときの写真(筆者撮影)
西九州自動車道、相浦中里IC~佐世保中央IC間を走行したときの写真(筆者撮影)

これによって一般道の混雑状況がどう変化するのかも今の時点では読みにくい。先ほど説明したように、佐々IC~佐世保中央ICのみの利用であれば、無料が継続される。これは、佐世保中央で降りて乗り直せば、これまでと同じ料金で通行することもできる、とも考えられる。

「国道のバイパス」でも有料化が決定

もう1つ八木山バイパスは、「高速道路」ではなくあくまで「国道のバイパス」で、自転車や50cc以下の原付の通行は禁止されているが、あくまで一般道路である。

八木山バイパスの広域図(NEXCO西日本事業資料より)
八木山バイパスの広域図(NEXCO西日本事業資料より)

国道201号線の八木山峠のバイパスとして、1985年に総延長13.3kmで開通した八木山バイパスは、片側1車線のため交通量の増加にともなって慢性的な渋滞に悩まされてきた。

福岡県をクルマで走行中にラジオの交通情報を聴いていると、渋滞発生箇所として常に名前が出てくる道路である。

この八木山バイパス、実は2014年に償還が終わり無料になっていたが、佐世保道路と同じく4車線化の工事が進められており、2024年度中に一部の4車線化が完了することから、再び有料化が決定した。

道路の管理も、供用当初の有料時代は日本道路公団(とそれを受け継いだNEXCO西日本)で、無料開放時に国土交通省に移ったが、今回の有料化にともない再びNEXCO西日本に移管される。

こちらは「4車線の道路維持のための有料化」と説明されているが、有料で開通した道路が無料になり、再び有料化となるケースもわが国では初めてだと思われる。

ちなみに通行料は、一律280円(普通車)となっている。毎日、通勤で利用している人にとってみれば、割引がない場合、1カ月(20往復)で1万1200円の負担増だ。

八木山バイパスは無料がゆえに交通量も多かったのだが、再び有料化されることで、無料の旧道にどの程度のクルマが移行するのか、それによって渋滞などはどう変化するのか、これも始まってみないと予測がつきにくい。

次ページ割引が変わり「実質的な値上げ」となるケースも多い
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