「なぜか相手に話が伝わらない人」の悪いクセ あいまいな表現を排除すればグッと伝わる

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「酸素透過率」という言葉の背景には、「角膜(黒目の部分を覆っている膜)は酸素を使って新陳代謝をしている」という要素と、「ソフトコンタクトレンズは角膜を覆う」という要素があります。「角膜は酸素を使って新陳代謝をしている」を「呼吸」に置き換え、「ソフトコンタクトレンズは角膜を覆う」を「マスクをする」に置き換えたことで、「酸素透過率」という専門用語がわかりやすい表現になったのです。

このように、専門的な内容を、構成する「要素」に分解してから、それぞれの要素を身近なものにたとえると、専門用語を知らない人にも伝わる説明になります。

「正しさ」よりも「わかりやすさ」にこだわる

専門用語を噛み砕いて説明しようとして陥るのが、「説明しすぎの罠」 です。わかりやすく説明しようとして、あれもこれもと説明しすぎてしまい、かえってわかりづらくなることがあります。

なぜ説明しすぎてしまうのでしょうか。

『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

それは、「正しさ」にこだわっているからです。何かにたとえようとしても、「厳密に言うと、正確に表現しているとは言えない」と思ってしまい、どんどん補足説明をしたくなるのです。専門家であればあるほど、「正しさ」にこだわってしまいがちです。

先ほど例に挙げた「ソフトコンタクトレンズの酸素透過率」のたとえも、厳密に言うと正確ではない点があります。でも、話を聞かされている側は、専門家ではありません。詳しい説明を求めてもいないでしょう。

相手にとって大事なのは、「正しさ」よりも「わかりやすさ」です。

そして、説明する側にとって大事なのは、「何が伝わればいいのか」というゴールの設定です。

説明上手な人たちを見ていると、「何が伝わればいいのか」を徹底的に追求し、それ以外の情報は思い切りよく排除しています。専門的な角度から見たら、「少し違うな」と思うことがあっても、相手にとって不要な情報ならば、バッサリと捨てて、伝わってほしいことを目立たせています。まるで「デフォルメの似顔絵」のようです。

「デフォルメの似顔絵」は、その人の顔の特徴を大きく強調していますよね。決して、その人の顔を正確に描いたものではありません。でも、似顔絵を見た人にはちゃんと、「その人だ」と伝わりますよね。

たとえも同じです。「伝えようとしていることの特徴は何か」をよく観察しましょう。そして、それ以外の細かなことは思い切って捨てることで、伝わる説明になるのです。

深谷 百合子 合同会社グーウェン代表

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ふかや ゆりこ / Yuriko Fukaya

研修講師/合同会社グーウェン代表。大阪大学卒業後、ソニーグループ、シャープで工場の環境保全業務を行う。2006年、シャープ亀山工場初の女性管理職となり、約40名の男性部下を抱えるが、仕事を任せられず、リーダーシップとは何かに悩む。失敗して萎縮する部下のフォローをする中で、自分らしいリーダーのあり方を見出す。2013年から部長職として中国国有企業との新工場建設プロジェクトに参画。その後、中国国有企業へ転職。動力運行部の技術部長として約100名の中国人部下を育成する。現在は職場コミュニケーションの改善を主なテーマに、講演や研修を行っている。著書に『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)がある。

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