「バウムクーヘン界隈」が盛り上がっている背景 老舗ユーハイムが「博覧会」の旗振り役も

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同社の企画開発部の藤本浩二課長によると、発端は創業者のカール・ユーハイム氏が日本で初めてバウムクーヘンを焼いて、2019年が100周年になることだった。

もともと日本に捕虜として連れてこられたユーハイム氏は日本での永住を決意し、1922年には横浜に1号店を、翌年には関東大震災で店が倒壊し、在留ドイツ人が多く身を寄せた先の神戸で店を再建した。

戦後、ユーハイム氏亡き後も、高度経済成長期の大量生産の時流に合わせ、全国へ進出。1955年にそごう神戸に出店すると、1957年に銀座の路面店、1960年に名古屋の名鉄百貨店など、全国の都市へ店を広げていく。

実はバウムクーヘンを売る店は結構ある

日本におけるバウムクーヘンの普及を担ってきた同社だが、100周年のタイミングでそごう神戸と「何か楽しいことはできないか」と考えて出てきたアイデアが博覧会だった。

当初はユーハイム社内ですら、「バウムクーヘンだけでは無理」という声が上がった。他社商品をユーハイムが買い上げて20種類ほど用意し、トークイベントなど参加型コンテンツも入れて開催。すると、「予想以上の反響があって、継続が決まりました」(藤本課長)。

藤本課長がネットやSNS、グルメサイトで調べたところ、日本には500店ものバウムクーヘンを提供している店があるという。各店には電話やメール、SNSでのDMでコンタクトをとる。

「参加希望の確率は半々です。辞退されるのは、会場に供給できる量を作れない、百貨店さんの取引基準を満たせない、興味がないといった理由です」(藤本課長)。当初はユーハイムの信用が頼りだったが、開催地が横浜や名古屋など関西以外に広がると、視察に訪れる人の増加に伴って、参加希望者も増えてきた。

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