ANAとJAL、「航空チケット値上げ」で決算に異変 ANA優位はいつまで続くか?カギ握る2つの戦略

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航空チケットが高すぎて、海外旅行に行けない。新型コロナによる水際対策が緩和された後、航空チケットの価格を調べてこう思った読者も少なくないだろう。

実際、国際線のチケット単価は2020年以降、高騰している。ANAHDの2023年4~12月の航空券のチケット平均単価は10万3864円、JALも同9万5218円となっている。

両社のコロナ前の平均単価は5万〜6万円台だった。コロナ前後で7割程度上昇しているのだ。コロナ前と比較して、日本人の出国者数が減ったため、旅客数は減少しているが、単価が上昇しており、国際線の売り上げ規模は拡大している。

いつまでANA優位の状態が続くか?

国際線の売り上げ規模で見ると、ANAHDが5515億円であるのに対し、JALは4717億円と15%程度劣後している。JALの斎藤祐二取締役専務は決算会見で「国際線の規模の差が(ANAHDとの)利益差となっている」と述べた。

ではいつまでANA優位の状態が続くのだろうか。2024年度に目を向けるとカギを握る要素が2つある。

1つ目はやはり、国際線のチケット単価である。

「2024年の上期くらいまでは現在の航空券単価の水準に大きな変化はないと思う」。ANAHDの芝田浩二社長は、昨年11月に行った東洋経済のインタビューでこのように見通しを語っている。

単価上昇の主な要因はいくつかある。まずは需給の逼迫だ。海外の航空会社は人手不足問題が深刻で、コロナ前の供給まで回復させるにはまだ時間がかかりそう。また今の円安環境は海外の航空会社にとっては外貨建て収入の減少につながる。制約がある中で日本方面の回復は後回しになるとみられる。

ANAとJALはコロナ禍でも人員減少を最小限に抑えてきた。海外の航空会社が供給をコロナ前の水準に戻せず航空券が高騰する中でも、積極的に国際線を運航できている。

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