織茂さんによると、精神的な緊張や興奮、疲れによって手が細かく震えるのは正常な反応で、医学的には「生理的振戦(しんせん)」と呼ぶ。関わっているのは自律神経だ。
自律神経には、体が活発に動くときに優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経があり、お互いにバランスを取り合っている。
「精神的な緊張で震えるのは、交感神経が過剰に興奮するから。筋肉に収縮指令が伝わり、複数の筋肉が交互に収縮して震えが顕著になるのです」と織茂さんは説明する。
病気が原因で起こる「震え」も
緊張した時の一時的なものではなく、震えが日常的にあると、生活にも支障が出るため、困る場合もあるだろう。
実際、織茂さんのクリニックには、「字を書くときに震えるので、字が書けない」「コップを持つと、こぼれてしまう」「スマートフォンのボタンをうまく押せない」と言って受診する人が多いそうだ。
「字が書きにくいなどと受診する人のなかには、何らかの病気で震えが表れていることがあります」と織茂さん。つまり、震えが「メンタル」の問題ではなく、「脳」の問題で起こることもある、ということだ。
具体的にはパーキンソン病、本態性振戦、それにホルモンが関わる甲状腺機能亢進(こうしん)症などで、20~30代の比較的若い年齢でもかかる病気もある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら