大量閉店「イトーヨーカドー」どこで間違えたのか 時代の波についていけず、戦略の変更も遅れた

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ちなみに閉店したイトーヨーカドーの店舗が居抜きでそのままドンキになる例は多く、それもまた、ドンキとイトーヨーカドーの現在の姿を表しているような気がする。

時代の波についていけなかったのが敗因か

イトーヨーカドーの歴史を紐解いていくと、ある段階から時代の波についていけなかったことがわかる。

そして戦略の変更を行おうと思ったときには、時すでに遅し、「個店主義」ではドンキがすでにリードしていたし、ヨーカドーの強みでもあった「集中」でいえばライフのほうが徹底していた。

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ある意味で、すべてが中途半端になってしまったのが、現在のイトーヨーカドーの姿なのであろう。

北海道・東北の店舗を閉鎖し、都心店に注力するというのが、今回のイトーヨーカドーの施策である。それはある意味で、下町から出発した、地元密着型のスーパーに先祖帰りするということを意味しているのかもしれない。

今回の記事では、日本の商業の歴史の中でイトーヨーカドーについて、マクロな視点から見てきた。では、実際に都心店を中心にしたとき、ヨーカドーにはどのような「勝ち筋」があるのか。

次の記事では、東京23区にあるイトーヨーカドー全15店を回って見えてきた、ミクロな視点でのイトーヨーカドーの「勝ち筋」について考えてみたい。

(16日19時、編集部追記)後編が公開されました↓

イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ"

谷頭 和希 チェーンストア研究家・ライター

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

チェーンストア研究家・ライター。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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