大量閉店「イトーヨーカドー」どこで間違えたのか 時代の波についていけず、戦略の変更も遅れた

拡大
縮小

そのやり方は同時期にGMSとして拡大を続けていたダイエーと比べると特徴的だ。『総合スーパーの興亡』(三品和広・三品ゼミ著/東洋経済新報社)では、「拡大のダイエー」に対して「集中のイトーヨーカドー」と書かれている。

出店地を慎重に選び、なおかつ近隣地域に多数出店するドミナント方式を選択することで、その地域でのプレゼンスを上げ、存在感を高める方式を選択していたわけである。

イトーヨーカドーの店内
現在のイトーヨーカドーの店内(筆者撮影)/配信先では写真をすべて見ることができません。本サイト(東洋経済オンライン)内でご覧ください

イトーヨーカドーの立地は基本的には「駅前出店」を柱としている。駅前の一等地に大きく建物を構え、駅前集客を狙うやり方である。そのため、かつては出店にあたって地元商店街や地域の小売店ともトラブルになるケースが多く、1986年には『イトーヨーカドー残酷物語』なる書籍まで出版されるほどであった。

業界トップに躍り出た「イオン」

とはいえ、すでに多くの論者が指摘している通り、現代での移動手段は、鉄道から車に移り変わってきている。特にモータリゼーションの文脈でいえば、戦後から現在に至るまで自動車保有台数は増加の一途をたどっており、車社会化の進行が著しい。

それに併せて小売店も変化を遂げてきた。特に、2004年にイトーヨーカドーの利益率を抜いて業界トップに躍り出た「イオン」は、「イオンモール」を中心としてロードサイド沿いにイオンモールを展開、全国各地にイオンモールが誕生し、いまやイオンは、我々日本人には欠かせない商業施設となった。

もはや日本人に欠かせない商業施設となったイオン(撮影:今井康一)

また、いわゆる、1ジャンルの商品に特化した「カテゴリーキラー」と呼ばれる小売店もロードサイド沿いに集中的に出店が相次ぐ。

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