ロードスターを「ヤバいクルマ」と思ったワケ 8年ぶり大幅改良はユーザー想定外の出来栄え

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アシンメトリックLSDは、差動制限力を加速時と減速時で変える機構があるのが特徴だ。ロードスターの場合、コーナーでシフトダウンをともなう減速時に「リアの安定性をさらに高めたい」というエンジニアの思いがあった。柔軟なサスセッティングを生かしながら、LSDの改良でそれを実現したのだ。

アシンメトリックLSDとスーパーLSD(筆者撮影)
アシンメトリックLSDとスーパーLSD(筆者撮影)

具体的には、トルクがかかる機構部品を分割して、噛み合う角度を加速時と減速時で変えた。結果的に、左右後輪にかかるトルクが、これまでは加速・減速時ともに1.8倍だったものが、加速時は1.8倍を維持しつつ減速時では2.3倍に引き上げられている。

また、初期トルクを差動制御力に伝えるバネを、巻バネから皿バネに変更したことで、LSD内でトルクが均一に伝わるようになった。その初期トルクも、従来の半分としたことで街中でもスムーズにLSDの効果がわかるようになっている。

なお、サスペンションは、ソフトトップとRFともに特に手を入れられていない。

エンジン音は「聴こえ方」が変わった

エンジンは高回転でさらに伸びやかとなり、出力は3kWアップした。またMT車では、アクセル操作に対する加速度変化をより明確化したことで、アクセルに対するクルマの動きに「キレ」や「メリハリ」が加わって、これがダイナミクスとうまく同期している。

エンジン制御の変更について説明するマツダの開発担当者(筆者撮影)
エンジン制御の変更について説明するマツダの開発担当者(筆者撮影)

エンジンの音のドライバーに対する「聴こえ方」も変わっている。マツダが「インダクション・サウンド・エンハンサー」と呼ぶ機構だ。

吸気音に対して反応する機構の部品を、これまでのゴム製から樹脂のメッシュ板を2つ組み合わせたものに変更した。発生する周波数をコントロールすることで、音の「聴こえ方」が変化したのだ。

そのほか、最新電子プラットフォームの採用によって、ライト・ランプ類に変換機構が必要となったため、ヘッドライトやターンシグナル、ブレーキランプなどの灯火類がすべて刷新され、LEDとなった。

「LED化したい」と思う旧モデルユーザーもいるであろうが、電子プラットフォームが変わっているため、残念ながら既存車へのいわゆるレトロフィットはできない。

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