KDDI、「ローソン5000億出資」に浮かぶ2つの懸念 三菱商事とは"折半出資"、見えづらいリターン

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2月1日時点のローソンの取締役5人のうち、竹増貞信社長を含む3人が三菱商事の出身だ。今年で就任9年目を迎える竹増社長が続投するかは定かでないが、「ローソンの社長は今まで通り、三菱商事から出す」(KDDIの高橋社長)という。

KDDIの高橋誠社長
通信・DXの力を活用した「未来のコンビニ」の実現に期待感を示したKDDIの高橋誠社長(撮影:梅谷秀司)

高橋社長は、「通信の分野であれば絶対に主導権を取りに行くが、小売りではあまり知見がない。ただ、小売りが価値を出すために通信を使ってもらうことは、われわれもプロ。そうした立ち位置をキープしていくのが今のスタンスだ」と説明する。

小売りという素人の領域で、経営の前面に立たないことは現実的判断と解釈できる。しかし50%出資という関与度合いの大きさに対して、KDDIが経営をコントロールしづらい立場にあることは、中長期的なリスク要因となる可能性もある。

TOB発表後のKDDI株は下落

KDDIの高橋社長とローソンの竹増社長は会見の場で、「未来のコンビニ」への期待感を何度も口にした。しかし具体的な中身が見えてこない以上、連携を通じたサービスの拡充がローソンの集客力をどこまで高められるかは未知数だ。国内市場が飽和状態にある中、海外市場への展開など対処すべき課題は多い。

こうした投資対効果への不透明感を警戒してか、2月9日のKDDIの株価終値は4467円と、提携発表前日の2月5日終値(4817円)から1割弱安くなっている。

KDDIの「思い切った投資」が実を結び、新生ローソンが雄飛する未来はくるのか。3社連合には、説得力のある提携の具体策を早期に示すことが求められている。

高野 馨太 東洋経済 記者

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たかの けいた / Keita Takano

東京都羽村市生まれ。早稲田大学法学部卒。在学中に中国・上海の復旦大学に留学。日本経済新聞社を経て2021年に東洋経済新報社入社。担当業界は通信、ITなど。中国、農業、食品分野に関心。趣味は魚釣りと飲み歩き。

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