KDDI、「ローソン5000億出資」に浮かぶ2つの懸念 三菱商事とは"折半出資"、見えづらいリターン

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一方、見方を変えれば、KDDIは自身の“経済圏”の弱点を補強したとも言える。

競合キャリアでは、楽天モバイルが「楽天市場」、ソフトバンクが「Yahoo!ショッピング」といったEC(ネット通販)をグループ内に抱える。数兆円規模の流通額を誇るEC上での接点を生かし、顧客の囲い込みにつなげている。

KDDIは「auPAYマーケット」「auPAYふるさと納税」を運営している。これらの流通額は公表していないものの、競合グループのECと比べると劣勢なのは明らかだ。

ただ会見では、ローソンの保有資産や顧客基盤を生かして経済圏の拡大にどうつなげるか、という具体的な話はほとんど出てこなかった。

住商と折半出資したJ:COMとの違い

第2の懸念点は、KDDIがローソンの経営権を握っていないことだ。

今回のような商社と折半出資という形は、KDDIにとって実は初めてではない。連結子会社のJ:COMには、住友商事と50%ずつ出資している。

J:COM買収をめぐっては、生みの親でもある住友商事と経営権を奪い合った末、両社が株式を50%ずつ保有する共同経営の体裁を整えたうえで、社長人事はKDDIが指名する形をとった。そして実質的な支配力を持つ意味合いから、KDDIの子会社となっている。

他方で今回のローソンについては現時点で“子会社”にする予定はなく、人事の面においても、主導権は引き続き三菱商事側に委ねる想定だ。

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