年700杯ラーメン通の「2024年トレンド&注目店」 キーワードは「麺の時代」「淡麗塩」「原点回帰」

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スープで勝負が付かないのなら、麺で差を付けるしかない。そのように考えるラーメン職人が徐々に増え、2022年〜2023年にいたっては、製麺所から麺を卸さず、自分で打った自家製麺を用いる店舗が、特に都内では人気上位を占めるにいたった。

スープの出来が良いことは所与の前提とした上で、麺づくりにもこだわる。食べ手からの支持を獲得するには、麺にも力を入れるのが当然。2024年は、そんな「麺の時代」がより一層本格化するだろう。

「Japanese Ramen 五感」の「塩らぁめん」
2023年春にオープンした淡麗ラーメン「Japanese Ramen 五感」の「塩らぁめん」(画像:OCEANS編集部)

ラーメン店それぞれのこだわり

また、スープクオリティの向上がもたらす別方向からのアプローチとして、スープの出汁を採る素材(鶏・豚・節・煮干し・昆布等)の等身大のうま味を最大限に活かしたラーメンが脚光を浴びつつある。

具体的には、「醤油ラーメン」「味噌ラーメン」よりも、タレのうま味が淡く、素材の魅力をダイレクトに食べ手に伝えることができる「塩ラーメン」。中でも、うま味が特にクリアに演出できる「淡麗塩ラーメン」が、トレンドの中心へと躍り出るだろう。

さらに、2010年代に一世を風靡した、いわゆるインスタ映えする、視覚的に華がある「創作ラーメン」でなく、チャーシュー、メンマ、ネギ、海苔など、定番の具をシンプルに盛り付けた、懐かしさ(ノスタルジー)を感じさせる「原点回帰」系ラーメンを出す店が、特に2020年以降、年々増加傾向にある。

「えーちゃん食堂」のラーメン
原点回帰なら目黒、不動前にある「えーちゃん食堂」(画像:OCEANS編集部)

これは、若手・中堅ラーメン職人を中心とした、「時流に翻弄されないオーソドックスな中華そばを作りたい」という意識の高まりによるものだが、2023年に新規オープンした店舗が提供するラーメンの内容を紐解く限り、今後、その傾向に拍車が掛かることは間違いないだろう。

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