チェコに登場、欧州初「中国製電車」数々の問題点 長期間認可出ずやっと運行、見かけは立派だが

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ビジネスクラスは運転席の直後に設置されているが、ちょうど動力台車の直上にあり、モーターの音が直接車内に響き渡る点も問題があると感じた。遮音性が悪いということもあるのかもしれないが、最上級の座席であれば、可能な限り騒音源から極力離れた場所に配置するか、せめて防音対策をきちんとしたほうがいいのではないだろうか。

現地の報道ではスムーズで静か、と語られていたが、実際にローコスト座席の方は比較的静かで、各クラスの配置を含め、再検討すべき部分だろう。

シリウス 先頭車
シリウスの先頭車。ビジネス座席は運転席の直後にある(撮影:橋爪智之)

走行時の激しい衝撃、安全性は?

最後に、筆者の視点から見て致命的と感じたのが、走行に関わる部分だ。

シリウスは連接式を採用しているが、走行中、特にカーブやポイント部分を通過する際に、車体が壊れるのではないかというほどの大きな衝撃がたびたび発生した。これはダンパー性能の問題なのか、車体構造上の問題なのかわからないが、試乗した数時間の間に何度も発生しており、思わず身構えるほどであった。

シリウス 665型
駅に停車中の「シリウス」665型(撮影:橋爪智之)
シリウス CRRC 銘板
シリウスの製造銘板ステッカー。CRRC ZHUZHOU LOCOMOTIVEの文字が見える。中国中車株洲電力機車の製造だ(撮影:橋爪智之)

現在、試験運行を行っているコリーン―ウスティ・ナド・ラベム間は、貨物列車が多く走る重要な幹線の一つで、線路状態もきちんと整備されている。また、運転最高速度は時速120kmで、車両性能上の最高速度である時速160kmで走ることはない。いわば、テストで慣らし走行するには適度な路線であるが、そのような路線でこれだけ激しい衝撃を感じるというのは尋常ではなく、認可取得遅延の原因の一つではないかと考えられる。

はたして、これが現場の調整だけで修正できるものなのか。今回の試験走行でいろいろな課題が見えてきたが、まずは安全に走行させることを最優先に改良を進めない限り、この新型車両に希望は見えてこないと強く感じた。

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橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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