「年収倍増も」日本を見限る日本人はどこへ行く? 円安定着のこれからは海外のほうが稼ぎやすい

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バブル経済崩壊後からの失われた30年のあいだに、海外在留邦人数は2.2倍の大幅増となっている。在留邦人約130万人(2023年)というと、政令指定都市がひとつ海外に移転したようなものである。国内の外国人労働者が200万人を突破したことが話題になったが、その一方で脱ニッポンの動きが年々加速しているのだ。

では日本を脱出した日本人はどこへ向かったのだろうか。2023年のデータ(在留邦人数)によると上位10カ国は次の通りだ。

①アメリカ(41.5万人)、②中国(10.2万人)、③オーストラリア(10.0万人)、④カナダ(7.5万人)、⑤タイ(7.2万人)、 ⑥イギリス(6.5万人)、⑦ブラジル(4.7万人)、⑧韓国(4.3万人)、⑨ドイツ (4.2万人)、 ⑩フランス(3.6万人)

コロナ前の2019年に比べるといずれの国でも減少したが、2022年との前年比増減ではオーストラリア、カナダ、韓国、台湾、ニュージーランドなどで増加した。

ちなみに都市別の上位は、①ロサンゼルス都市圏(6.4万人)、②バンコク(5.1万人)、③ニューヨーク都市圏(3.7万人)、④上海(3.7万人)、⑤大ロンドン市(3.2万人)だ。日本企業の支社・支店や、現地法人が多く存在する都市が上位に並んでいる。

若者はワーキングホリデー、転職は30~40代がメイン

脱ニッポンといえば、かつてはワーキングホリデーを利用した若者の行動が象徴的だった。日本はオーストラリアなど29カ国・地域と協定を結んでいる。筆者の学生時代にも友人が1年間オーストラリアに渡って働きながら英語を学び、帰国後、大学を卒業して外資系企業に入社した。長い歴史がある制度だ。

ワーキングホリデーの人気先は今でもオーストラリアで、2022年ー2023年度の同国におけるワーキングホリデービザ発給数は、(日本国籍保有者)1万4398件。過去最大となったと現地メディアが報じている。

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