半導体市況はAI頼み?各社が語った不況の出口 用途別で明暗が分かれる企業業績の今後

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ほかの大手メーカーと異なりSCREENは、2023年度も増収増益を期初の段階から見込んでいた。最大の要因は絶好調な中国向け売り上げにある。2022年度に出荷しきれなかった中国半導体メーカー向けの案件を消化することで、市況の冬でも業績を落とすことなく耐えしのいできた。

今年はさすがに中国向け売り上げが一服すると思いきや、「中国からの受注は依然として活発で、2024年も同程度の市場になると見ている」と、廣江敏朗社長は話す。

となれば、台湾、アメリカ、韓国の大手半導体メーカーの設備投資の回復がそのまま2024年度の業績に貢献しそうだ。

不安要素は自動車向けや産業機械向け

AI半導体へ大きな期待を寄せ、強気な姿勢を示す各社だが、不安要素も出てきている。底堅かった自動車向けや産業機械向けで減速感が出始めているのだ。

象徴的なのがロームの2023年度業績の下方修正だ。5000億円を見込んでいた売上高の見通しを300億円引き下げた。

半導体メーカーのロームは、自動車や産業機械、家電などの民生機器向けが全社売り上げの8割を占める。それぞれの顧客企業において、ロームの想定を超える在庫調整が行われたことが修正の要因だ。

世界中の半導体メーカーと取引がある信越も、自動車向けや産業機械向けの領域の見通しは弱気だ。「マクロ景気の影響をモロに反映する200ミリウェハーのユーザーの中には『2024年は明るい展望を描けない』と断念しているところもある」(轟専務)。

直径が200ミリメートルサイズのウェハーは自動車向けや産業機械向けの半導体で多く使われる。轟専務の言及したマクロ景気の影響を自動車や産業機械は受けやすい。中国経済の減速感の強まりを受けての発言と解釈でき、その点はSCREENと事情が異なる。

用途によって見通しに明暗の差が出ている半導体市況。2月9日までに、半導体メーカー大手のルネサスエレクトロニクスと、世界屈指の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロンの決算が出そろう。2社の社長は2024年の市場見通しをどう語るのだろうか。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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