紳士服店には両刃の剣 スーパークールビズ旋風


販売面でも独自の手法を採用した。AOKIではシャツの「試着」を大々的に実施。上着を着用しないスーパークールビズは、シャツのだぶつきやフィット感など、見た目がより重要なポイントだからだ。そこには、サイズだけで判断して購入したくない、という消費者心理がある。「長年、紳士服専門店として蓄積してきた、ノウハウが生かされている」(清水彰・AOKI社長)。

スーパークールビズ商品は意外に採算性も高い。メーカーからの仕入れが中心のカジュアル商品群と違い、自社ブランドで展開されており、物流などの中間コストを圧縮できるからだ。紳士服各社は例年、7~9月に赤字決算を余儀なくされているが、スーパークールビズは目下、つかの間の救世主となっている。

ただ反面、スーパークールビズの拡大は、紳士服業界にとって、収益構造を根幹から揺るがすリスクもはらむ。仮に「脱・スーツ」が習慣化すれば、主力で稼ぎ頭のスーツの販売を脅かしかねない。すでに中堅紳士服専門店は「(通常はまだ数の出る)初夏のうちからスーツの売れ行きが鈍った」と打ち明ける。

スーツ販売への反動も

今回、環境省が提唱したスーパークールビズ期間は、5月から10月末まで。開始月と終了月をそれぞれひと月分延ばした。毎年スーツ販売が通常の水準に戻る10月も含まれており、秋のスーツ販売にも影を落としそうだ。さらに来年以降も電力不足が続き、こうした動きが通年化した場合、結果的にスーツが着用される期間は短くなる。

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