「サントリー生ビール」発売1年待たず刷新の本気 変化はわずかだが、一貫した戦略が見える

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サントリーが捉える強みは、「若年層」にある。実は、サントリー生ビールは比較的若い年代に支持されている。国内のビールの購入者のうち20代から40代の構成比が約36%であるのに対し、サントリー生ビールでは約41%。今回のリニューアルは、変化や流行に敏感な若年層への一層の訴求を狙ったものというわけだ。

サントリーの多田寅ビールカンパニー社長は「若者というところに方向性が見えた」という(写真:サントリー)

リニューアルでは醸造方法を見直し、飲んだ瞬間の刺激感を強化。またパッケージの色調を明るくし、文字を大きくすることで、店頭でより目を引くようにした。

見た目の変化は軽微だが、いずれも若年層の消費者の意見を積極的に取り入れた。サントリーの多田寅(すすむ)ビールカンパニー社長は、「商品に対する消費者の意見を素早く反映させることで若年層により受け入れられると考え、このタイミングでのリニューアルに踏み切った」と語る。

マーケティングを若者に「全振り」

サントリー生ビールは発売以来、ターゲットを若年層に絞ってきた。多田氏は「すべてのマーケティング施策を若年層に振り切ってきた」と話す。

俳優で20代の山﨑賢人さんや上白石萌音さん、40代の坂口憲二さんを起用した販促活動で、若年層が親近感を持てるイメージの定着に努めた。

さらに「ビールの世界だけでマーケティングをしても、ビールに興味がない人は振り向かない」(竹内氏)との考えから、若年層の関心が高い別領域でのマーケティングも重視した。音楽ユニット「YOASOBI」やアパレルブランド「SOPH.」とのコラボレーションで、若い年代にとって「いろんな場所で目に入る、どこか気になる存在」を目指した。

近年よく指摘されるのが、若年層のアルコール離れだ。ビールも例外ではない。20代、30代のビール購入容量を見ると、10年前と比べて11%程度減っている(インテージSCIデータ)。

とはいっても、今後は50代以上の購入量の増加は期待できない。ビール市場の活性化のためには、若年層のビール離れをいかに食い止めるかが重要になってくる。サントリーが40代以下に照準を定めた理由も、まさにここにある。

2024年は商品リニューアルのほか、コラボレーションや店頭での販促活動などを通じて、若年層向けのマーケティングをさらに強化する方針だ。

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