日本の従業員が「世界一やる気がない」本当の理由 やる気の低下は事実だが、それ自体は重要ではない?

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「日本人って、昔は仕事への熱意や組織への忠誠心の高さが世界的に有名でしたよね。低下傾向は理解できますが、世界最高が簡単に世界最低になるものでしょうか。調査の設計や尋ね方に問題があるような気がします。ともあれ、調査結果には納得できません」(商社・30代)

「中国・ベトナムの生産拠点に駐在した経験があります。現地採用の従業員は、ちょっとでも高給の求人があると、さっさと転職します。監視しないと、仕事をサボります。彼らよりも日本人の方がやる気・熱意や組織への愛着が低いというのは、ちょっと信じられません」(精密・50代)

人事部門は、どういう認識でしょうか。ある素材メーカーの人事部門マネジャーに聞いたところ、上記の従業員の意見に同意していました。

「当社でも若年層の離職が増えており、やる気や帰属意識の低下を実感しています。ただ、海外拠点の状況を見ると、まだまだ諸外国よりも良い状態だと思います。それよりも、コンサルティング会社や研修会社がこうした調査を振りかざして売り込みにやってくるのが、個人的にはウザいです(笑)

やる気・熱意がなくて「so what?」

外国人は、こうした調査結果をどう見ているのでしょうか。日本の商社での勤務経験があるシンガポール人経営者ジョセフィン・テオ氏は、「私の感覚では、日本人が最下位ということはありえない」と強調します。

「私がこれまで会った日本人は、情熱を持って意欲的に仕事をしていました。日本人が偉いと思うのは、職場での困難な状況を我がことと受け止め、解決に向けて主体的に取り組むこと。ちょっと意に沿わないことがあったらすぐ転職するシンガポール人と比べて、日本人の方が劣っているというのは、まったく信じられません」

ギャラップ社の調査で125カ国中1位だったのが、アメリカ。この結果について、アメリカ人経営者デビー・ウィルソン氏は、鼻で笑いながら次のようにコメントしました。

「ちょっと機転が利くアメリカ人は、その手の調査に自分を良く見せようと回答するわ。『やる気も熱意もなく嫌々働いている』って答えて、それが会社に知れたら、立場が悪くなるでしょ。日本人は、見ず知らずの相手に思ったことを正直に打ち明けるわけ?」

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