「旧ジャニーズ」2回の記者会見に共通する失敗 危機管理における説明責任は「被害者目線」

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(写真:ロイター/アフロ)

旧ジャニーズ事務所が行った2回の記者会見は、大きな注目とともにその対応のまずさが露呈する結果となり、同事務所の経営を揺るがす事態に発展した。企業広報における危機管理のエキスパートである石川慶子氏に、くだんの記者会見の問題点について、改めて指摘してもらった。

2回の記者会見に共通する被害者目線の欠如という失敗

『GALAC』2024年3月号の特集は「アイドルと日本社会」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

不祥事における記者会見は、ダメージを最小限にし、信頼回復の第一歩として位置づける役割があります。誰が何をどのように語るのか、戦略的キーメッセージの組み立て力が求められるのです。そういった観点から見た場合、旧ジャニーズ事務所は性加害問題で公式会見を2回開催していますが、失敗しているようにみえるのはなぜなのか考察します。

2回の記者会見で共通しているのは、組み立て軸とすべきステークホルダー(利害関係者)が曖昧になっている点です。危機時に最も重要なステークホルダーとは、旧ジャニーズ事務所の場合、被害者、現役タレント、取引先、報道関係者、ファンといった人々です。問題は、記者会見の場における優先順位の組み立て方にあります。

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