岸田首相が自民党に設けた「政治刷新本部」(本部長・岸田首相)は、派閥による「カネと人事に絡む動き」を禁止し、本来の政策集団に徹するなどの中間とりまとめを決めたが、実効性は疑わしい。
1月26日からの通常国会は、首相の施政方針演説に先駆けて、衆参両院の予算委員会で裏金問題の集中審議を行うという異例のスタートとなる。野党側は、この問題の真相解明を進めるために関係者の証人喚問や参考人招致を求める構えだ。派閥解散などの姿勢を見せる岸田首相に対しては「論点のすり替え」という批判を強めるだろう。
政府は2024年度予算案を「最善の案」として提出しているため、予算が成立するまでは追加の経済対策など新たな対策は打ち出せない。このため3月末までは「野党に一方的に攻められる時期」となる。
派閥解散で再選の道が開けてくる?
岸田首相は、派閥解散などを掲げることで政権の勢いを取り戻し、国会審議を乗り切って、衆院解散・総選挙のタイミングをうかがい、選挙を勝ち抜けば9月の自民党総裁選での再選の道が開けてくるという楽観的なシナリオを描いている。
だが、国会は甘くない。野党の追及で岸田首相が立ち往生するときに、自民党内が結束して対応できるかどうか。派閥解散を一方的に打ち出した首相には自民党内でも不信が募っており、岸田氏が「見捨てられる」場面も予想される。
岸田首相の「すり替え作戦」は自民党内の派閥存続派、国民世論、そして国会に見透かされて通じなかった。予算成立と引き換えに首相退陣となれば、自民党内は一気に流動化。ポスト岸田をめぐる政変が動き出すだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら